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About Mother Goose Society of Japan
























Comparative Studies in Nursery Rhymes

by Lina Eckenstein

翻訳・注釈 星野孝司


目次

ChapterⅠ First appearance of Nursery Rhymes…1(原書頁数)
第1章 わらべ唄収集のはじまり
ChapterⅡ Early References…13
第2章 初期の参考文献について
ChapterⅢ Rhymes and Popular Songs…23
第3章 わらべ唄と俗謡
ChapterⅣ Rhymes in Toy-books…36
第4章 トイ・ブックスの唄たち
ChapterⅤ Rhymes and Ballads…45
第5章 わらべ唄と民歌
ChapterⅥ Rhymes and Country Dances…57
第6章 わらべ唄と伝承舞踊
ChapterⅦ The Game of‘Sally Waters'…67
第7章 サリー・ウォータースについて
ChapterⅧ ‘The Lady of the Land'…78
第8章 レディ・オブ・ザ・ランド
ChapterⅨ Custom Rhymes…89
第9章 わざ唄
ChapterⅩ Riddle-Rhymes…104
第10章 なぞなぞ
ChapterⅪ Cumulative Pieces…115
第11章 積み上げ唄
ChapterⅫ Chants of Numbers…134
第12章 数え唄
ChapterXⅢ Chants of the the Creed…143
第13章 式目聖歌
ChapterXIV Heathen Chants of the Creed…152
第14章 異教的な式目聖歌
ChapterXV Sacrificial Hunting…171
第15章 いけにえ狩り
ChapterXVI Bird Sacrifice…185
第16章 供犠の鳥
ChapterXⅦ The Robin and the Wren…200
第17章 コマドリとミソサザイ
ChapterXⅧ Concluding Remarks…215
第18章 むすび


《訳者凡例》

本書は1906年に出版されたLina Eckensteinの“Comparative Studies in Nursery Rhymes”の邦訳,注釈版である。
原書に於いて引用されるわらべ唄の収集・研究書は,第一章末にあるそれらの出版年表における年号をもってあらわされ (例…1842=J.O.Halliwell,“The Nursery Rhymes in England",また諸外国の研究書は原書巻末に付された略号の一覧に従い記されている (例…Gr.=J.Grimm“Deutsche Mythologie",reprint 1875)。
本訳稿では唄例末尾の例はそのままに,文中にこれが引かれる場合のみ,ただの年号と区別するため,「収集1842」のごとく表記した。

また「(1)」は原注,「*2」などは訳者の補注をあらわす記号である。

「Ecken.」は原著者エッケンスタイン,

JOH」は J.O.Halliwell,

OXDNR」は Opie の“Oxford Dictionary of Nursery Rhymes

ANMG」はBaring-Gouldの"Anotated Mother Goose"

の略号である。

そのほか,拙いながらも訳者による text critique の成果として――

*co=corrected by the original text…原典により修正,特記無き場合は詩文自体を修正, 引用個所・ページ数の修正は以下のように記す。
例:(1842,p.3//*co Note,p.179)=(収集1842,原書の記すページ数//実際の原典にあるページ数)

*nc =not certain in the indicated text…指摘典拠中に見当たらず,典拠不明

の二つの記号を追加した。
さらにとくに * を付した個所には,訳者の手が加えられていると思われたい。


“Comparative Studies in Nursery Rhymes”
by Lina Eckenstein


序・心豊かなる読者諸氏へ

 上エジプトのアバイダスにある,セティ王の神殿の壁面は,神々の儀式やその供物を描いた彫刻で飾られている。そして,そのわきに建つ礼拝堂の内壁にはこんな興味深い場面が描かれているそうである――鷹の死体が一つ,棺の上に横たわっている。その死を悼む鷹たちが,そのまわりをとりかこみ,さらに空を舞う一羽の鷹が,魔よけの紋章のかかげられている空の高みから,今まさに降りたとうとしている……写真なりが手元にあれば,もっとちゃんと再現できるところだが,この死者とその弔問客たちという構図は,ある古風でちいさな木版画,《コマドリのお弔い》のトイ・ブックの挿絵を思い起こさせるものである。
とはいえ,セティ王の神殿は紀元前14世紀からあったものだし,《コマドリのお弔い》の起原はどうたどってもせいぜい18世紀半ばまでといったところ。しかしこの間を橋渡しするもの,死んだコマドリと,死んだ鷹をつなぐ概念は存在しえないのであろうか?ともかくこの彫刻の一場面がきっかけとなって,比較民俗学上に生ずるこうした偶然の一致(coincidence) の諸例を,聡明なる読者諸氏のみ前に呈すことを思いたった。今後より良い研究書がさらに編まれるかどうかは諸君次第である。
 23 September,1906

…わが過ぎ去りし日々の亡霊にみかえれば
幼き日 懐かしき お伽の数々 思いに浮かぶ

ジャックのお家に 麦芽を安置
ネズミがお家で 食べたは麦芽
猫が襲って血まみれ惨事
ネズミあわれや何の罪(トガ)
うるさワンコに 曲が角ベコ
それに…そうそう! あわれなおとめご

ああ なつかしきはガートン夫人
(あえて呼びたし「ばぁちゃん」と)
いとけなき 我の心に 母よりも
さらには愛せし 文法よりも
チューチュが三匹 メクラはなぁぜ
メアリーさん家の庭師はたぁれ
そうしてそして―いまなを知らぬことなれど―
「カンシャク玉」って いったいなぁに。 C. S. C.



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