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About Mother Goose Society of Japan























マザーグース資料デジタル版 リンク集
   マザーグースの古い童謡集や絵本などで、著作権フリー(パブリック・ドメイン)になっているものがたくさんあります。 なかなか古い資料の実物を入手することはできません。もちろん、実物が最善であることは言うまでもありませんが、 昨今のデジタル資料はかなりよい画像で見ることができます。大きさや手触りは実感できませんが、活字の書体やレイアウトなどがわかると、 それだけで理解がずいぶん違います。
   ここには、国立国会図書館デジタルコレクションやプロジェクト・グーテンベルグ、インターネット・アーカイヴ・プロジェクトなどで公式に公開されている資料のうち、 よく知られているマザーグース資料のデジタル版掲載ページへのリンクを載せました(書名をクリックしてください)。 少しでも実物が入手できない方のお役にたてば幸いです。(管理人@フィドル猫 2020.11)
  
英米の童謡集 目次へ
Tommy Thumb's Pretty Song Book Voll.Ⅱ, sold by Mary Cooper, 1744.
  
   イギリスの大英図書館が所蔵する、現存する最古の童謡集です(p.30, 33, 36は何らかの理由で非公開)。 長い間、この1冊しか存在が知られていませんでしたが、2001年、オークションに2冊目が出現し、 アメリカのプリンストン大学コウツェン児童図書館の蔵書となりました (※プリンストン大学の所蔵本は部分的な画像のみ見られます)。
※画像は、左が大英図書館、右がプリンストン大学コウツェン児童図書館のタイトルページ。天(上辺)と小口(右辺)の裁断が違うため、 イラストや文字の余白が異なっている。

Mother Goose's Melody: or Sonnets for the Cradle, printed by Isaiah Thomas, MDCCXCIV (1794).
   この本の元になった、イギリスでニューベリー(1713〜1767)が発行した同名の本は、初めて童謡集のタイトルに「Mother Goose」の語を使った本だとされています。 「Googleブックス」のデータです。データの提供元はアメリカのインディアナ大学図書館です。タイトルページの画像によると、 アイザイア・トーマス(1749〜1831)による第二ウースター版、1794年刊です。シェイクスピア劇中の子守歌を収録した「Part Ⅱ」も見られます。

The Nursery Rhymes of England, collected & edited by James Orchard Halliwell, John Russell Smith, 1843.
   ハリウェル(1820〜1889)が編集した集成(初版は1842。第五版(1853)が現行の内容)で、イラストのあるタイトルページには イギリスのロンドンで1844年に発行された第二版とあります(ただし、活字のタイトルページには、ローマ数字でMDCCCXLIIIとあり、1843年と読めます)。 「Googleブックス」のデータです。データ提供元のハーヴァード大学図書館の蔵書印がありますが、元の持ち主によると思われる書き込みがなされています。 巻末索引に本文ページへのリンクがあります。ページ内検索もできます。
※画像はイラストのあるタイトルページ。本来の表紙は失われている。

The Nursery Rhyme Book, ed. by Andrew Lang, ill. by L. Leslie Brooke, Frederick Warne & Co., 1897
   この本も「Googleブックス」のデータで、提供元はニューヨーク公共図書館です。目次の各章タイトルから本文ページへのリンクがあります。 イラスト目次には、どういうわけか一部しかリンクがありません。
   この本は『マザーグース初期英米選集コレクション』第6巻〈マザーグース・ライブラリー[1]〉(藤野紀男・夏目康子解説、ユーリカ・プレス、2004) に収録されています。その「別冊日本語解説」によれば、ラング(1844〜1912)が編集し、ブルック(1862〜1940)がイラストを付けたこの本と同じ版を、 ラフカディオ・ハーンが息子に英語を教える際に用いたということです。

英米の絵本 目次へ
New! Mother Goose, ill. by Kate Greenaway, George Routledge & Sons, 1881.


   ケイト・グリーナウェイ(1846〜1901)の絵本です。「インターネット・アーカイヴ」で公開されています。データの提供元はLibrary Genesisとありますが、「UCLA」の蔵書印も見られます。 グリーナウェイは下記クレインとともに、彫版師兼出版者のエヴァンズ(1826〜1905)の下で多くの絵本を世に送った、絵本作家です。
   この本の表紙は斜めの格子柄にタイトルのみというシンプルなレイアウトです。『マザーグース学会会報』No.260 (2022.3)の巻頭記事 「Kate GreenawayのMother Goose or the Old Nursery Rhymesの初版本(1)−3冊を比較して」(夏目康子)によると、この柄の表紙は、初版第2刷に当たります。 本文最終見開きの右ページには、「London Engraved & Printed at Racquet Court, by Edmund Evans」と丸い囲みの中に印刷されています(画像下)。

The Baby's Opera, by Walter Crane, Frederick Warne and Co., 1900.
      ウォルター・クレイン(1845〜1915)のマザーグース絵本です。初版はロンドンのRoutledge社から1877年に出版されました。 クレインは彫版師兼出版者のエヴァンズ(1826〜1905)とともにイギリス出版界に子ども向けの「美しい」絵本を普及させるという画期的な取り組みに関わった「エヴァンズの三人組」の画家のひとり。 クレインの姉ルーシー(1842〜1882)が編曲した楽譜も載っている、スグレモノの絵本です。データの提供元は、アメリカのスミソニアン図書館です。 「インターネット・アーカイヴ」からは、無料でPDF、Kindle、EPUB、フルテキストなど様々な形態でダウンロードできます。スミソニアン図書館には、 クレインの姉妹絵本The Baby's Bouquet (1878)もあります。
※画像・左がOpera、右がBouquet

Denslow's Mother Goose, ed. & ill. by William Wallace Denslow, McClure, Phillips & Co., 1901.
   デンスロー(1856〜1915)は、アメリカのイラストレーターおよび風刺漫画家。ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。 有名な作品にフランク・ボームの『オズの魔法使い』の挿絵があります。「プロジェクト・グーテンベルグ」のHTML版です。文字部分は、 元の絵本のイラストの中に描かれている場合は見られます。

Our Old Nursery Rhymes, by Alfred Moffat, ill. by H. Willebeek le Mair, Augener, 1911.


   ウィルビーク・ルメール(1889〜1966)の絵本で、モファット(1866〜1950)の楽譜がもれなく載っています。 ルメールはオランダの裕福な家の生まれで、「ケイト・グリナウェイの再来」と言われ15歳で絵本に挿絵を描きました。上品な子どもたちなどの絵を草花の飾り罫で囲む形が特徴です。 モファットは、イギリス民俗音楽学者のキドソンに師事し、民俗音楽の楽譜集の編曲を手がけた作曲家です。この絵本に載っている 「Twinkle twinkle little star」のメロディーは、日本でよく知られている「キラキラ星」とまったく違うことを、鷲津名都江氏が指摘しています (「マザーグースの魅力−メロディ、ライム、そしてリズム」『英詩評論』第27号)。 「Internet Archive」のデータで、提供元は、ノース・カリフォルニア大学図書館です。残念ながら、元の表紙は欠落しています。
   また、アメリカ議会図書館(Library of Congress. 通称LC)では、 続編のLittle Songs of Long Ago (1912)のデータを公開しています。こちらの表紙は健在です。上記鷲津氏によると、こちらに載っている「London Bridge」のメロディーも、 日本で知られている「ロンドン橋」とはまったく違うとのことです。
※画像・上は、Our Old Nursery Rhymesの「Twinkle twinkle little star」見開き、下はLittle Songs of Long Ago表紙

The Real Mother Goose, ill. by Blanche Fisher Wright, Rand McNally & Co., 1916.
   「プロジェクト・グーテンベルグ」のHTML版なので、文字部分の画像はありません。巻頭のabc順歌い出し索引が リンクになっているので、たいへん便利です。イラストは初版ではなく最近(現在市販されている)のものなので、ハンプティ・ダンプティは「卵男」です。


翻訳童謡集など 目次へ
英学捷解 一名・リードル独学』  浦谷義春 (翠洞) [他] 訳、森本太助[他]、1872(明治5)
   明治5年(1872)に発行された、英語教科書Sargent's Standard First Reader(『サージェント第一読本』)の教師用直訳本です。 国立国会図書館のデジタルコレクションです。コマ番号10の左ページに「One, two, three, four, five」の原文、直訳、少年とウサギのイラストが見られます。 これが現在確認されている、最も古いマザーグースの訳詩になります。

New! さよなら  竹久夢二 著、洛陽堂、1910(明43)
  参考    これも国立国会図書館のデジタルコレクションです。コマ番号34〜35に「ロンドンへ」と題された「Pussycat, pussycat, where have you been?」の翻訳があります。 また、巻頭の「少年と春」という作品内の3ページ目(コマ番号9)には「Who killed Cock Robin?」の第1連のみの訳が、作品内で読まれる絵本の文章という形で掲載されています。 この2つの訳は、それぞれの唄の本邦初訳か非常に早い時期の翻訳のひとつと言えるものです。
※画像左は国立国会図書館のデジタルコレクションの表紙。マイクロフィルム画像のデジタル化なので白黒。参考画像右は「日本の古本屋」より。

Otogiuta(ローマ字少年叢書「日の丸文庫」二) 土岐善麿 作、日本のローマ字社、1919(大正8)
      土岐善麿(1885〜1980)のローマ字詩集『Otogiuta』の初版です。収録作品の内、数篇がマザーグースの翻案であることが判明しています。 「Hanazono」(p.21)「Yugata」(p.23)「Nyânya」(p.48)「Santaro」(p.49)「Karappono Kame」(p.50)「Huehuki no Taro-san」(p.56)「Koziki」(p.57)がそうです。 Otogiutaは第五版(1939)まであり、第五版はいくつかの図書館で所蔵されていますが、初版と第二版は、なかなか見ることができませんでした。 データの提供元は早稲田大学図書館、「今井卓爾文庫」というコレクションの1冊です。 イラストは鈴木淳(1892〜1958)です。 第二版(1923)も同じく公開されています。 Otogiutaは国立国会図書館にもない資料ですので、早稲田大学図書館のデジタル版はたいへん貴重なものです
※画像・左が初版、右が第二版。

まざあ・ぐうす (少年文庫 92) 北原白秋 訳、春陽堂、1933(昭和8)
   国立国会図書館のデジタルコレクションです。アルスから単行本の『まざあ・ぐうす』が大正10年(1921)に発行された後、 『白秋童謡集』第1集(アルス、大正13年)や『白秋全集』第10巻(アルス、昭和5年)に収録され、さらには、春陽堂少年文庫の1冊としても発行されました。 『白秋童謡集』と『白秋全集』収録の「まざあ・ぐうす」は、『マザーグース初期邦訳本復刻集成』第1巻(高屋一成編集・解説、エディション・シナプス、2011) に掲載されていますので、ここでは春陽堂少年文庫を載せました。添えられているイラストは日本人のものではなく、白秋が参考にした原書絵本などから採られた絵らしいのですが、 「当時挿絵の版画は使い回しされていたと考えられるので、その本が白秋の持っていた原書の1冊かどうか分からない」と、 高屋一成氏が指摘しています(「白秋訳『まざあ・ぐうす』書誌と解題」『マザーグース研究』11号)。 高屋氏によれば、ゾウのイラストがついたジャケットがかかっていたようです。国会図書館は、ジャケットは保存しないので欠けています。

楽譜集 目次へ
National Nursery Rhymes and Nursery Songs, set to music by James William Elliott, George Routledge and Sons/Novello, Ewer & Co., 1872
   イギリスの作曲家エリオット(1833〜1915)が作曲した童謡楽譜集。54篇のうち45篇がマザーグース。アメリカとイギリスでは、 メロディーが異なるものも多いのですが、その理由のひとつは、イギリスでは伝承のメロディーが優勢でエリオットの曲は普及しなかったのに、 アメリカではこの楽譜集が浸透し定着したためらしい、と鷲津名都江氏が指摘しています (「マザーグースの魅力−メロディ、ライム、そしてリズム」『英詩評論』第27号)
   サイドメニューにある各ライムへのリンクから目的のページを見たり、1ページずつめくることもできます。イラストを複数の画家が描いており、提供元のフロリダ大学のデータによると、E. H. Griset, F. A. Eraser, W. Small, K. Greenaway等で、 彫版師は著名なダルジル兄弟 Dalziel Brothersです。

Children's Singing Games: With the Tunes to which They are Sung: 2nd Series, ed. by Alice Bertha Gomme, D. Nutt, 1894.
   「Googleブックス」のデータで、提供元はカリフォルニア大学図書館です。上記鷲津氏によると「イギリスの子どもたちの遊びを収集した」 アリス・ゴム(1853〜1938)が楽譜、遊び方、解説を付けた本です。収録は8曲のみですが、「興味深い1冊」として紹介されています。目次から本文へのリンクがあります。

研究書 目次へ
Comparative Studies in Nursery Rhymes, by Lina Eckenstein, 1906.
   当ホームページ内「マザーグース・ライブラリー」に、星野さんによる翻訳・注釈が掲載されている、 リナ・エッケンシュタイン(1857〜1931)著の研究書原本です。データの提供元はUniversity of California Librariesです。

Nurse Lovechild's Legacy, by Andrea Immel & Brian Alderson, Cotsen Occasional Press, 2013.
   現存最古の童謡集Tommy Thumb's Pretty Song Book Voll.Ⅱと、Tommy Thumb's Song Book (1788)およびThe Pretty Book (c.1744)の3点の復刻に際し、 プリンストン大学コウツェン児童図書館館長インメル氏と、イギリスのオーピーコレクションの査定も行った児童文学研究者オルダーソン氏(1930〜)が共著で、 これらの古い童謡集についての最新の研究成果を著した別冊解説書。




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